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「めがねと旅する美術展」(青森県立美術館、静岡県立美術館、島根県立石見美術館)出品作 円環カプリス | 楠 | H110 x 50 x 57 cm
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「美少女の美術史展」(北師美術館/台北)
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また、東日本大震災を機に制作するようになった派生シリーズ「メメント・モリ」(ラテン語で「死を忘れるなかれ」という意味の警句)もまた、「生」と「死」について同様の方法論でアプローチしています。作家は、「アンビバレンス」という言葉を使い始めた当初、その本来の意味に沿ったコンセプトを構築していましたが、制作を進めるにつれ、それを一人の人間に内在する「心の多様性」として拡大解釈していきました。そうすることによって、より多くの人達に『本当のあなたはこうなのでは?』という問いかけをする作品になって行きました。
[*1]今はSNSなどの発展により、自分を自由に表現できる媒体も増えました。カルチャーやジェンダーにおけるマイノリティへの認知や理解も、且つてとは比較にならないほど深めて来ているかもしれません。一方、であるからこそ「私」という自らの個性に深く向き合う必要性があること、コンプレックスを超克しなければならない場面も増えてきているのかもしれません。グローバリズムが浸透した現代において、その状況はボーダーレスと言えましょう。だからこそ金巻氏の作品における「多様性」の肯定は、非常に大きく重要なメッセージとして世界中の人々の心に響くのではないでしょうか。
今展では会期を前期と後期に分け、それぞれ大きく異なる内容の展示を予定しています。前期では、主に金巻芳俊作品の「これから」のビジョンが示されます。具体的には、昨年新たなプロジェクトとしてスタートし、ともに数時間で完売したフィギュア作品と版画作品の第二弾を紹介します。特に版画作品は新たな木彫作品の構想画でもある為、興味が尽きません。[*2] 中でも、空間が割れて万華鏡のような様相をみせる作品では、「人も景色も刹那に移ろいゆく」様子をこれまでとは異質の造形で表現するためのアプローチになっています。二次元では表現可能であっても三次元では難しい、でもそれをどう克服するか、作家は日々葛藤しています。「アンビバレンス」から始まった「彫刻なのに彫刻的でない表現」の未来形に、いやがうえにも期待が高まります。
そして後期は、「これまで」の集大成ともいうべき「カプリス」シリーズの彫刻を中心に木彫作品の展示となります。作家自身「『カプリス』シリーズの完成形」と語る作品です。作家は、今回のカプリスを等身大の作品とすることにこだわりました。それによって、彫刻なのに彫刻ではないような、もっと言えば人の気配が濃厚になります。そこに人がいる気配があるのに、でも人ではない。そんな体感によって、人間関係の距離感を誤認識してしまうような作品を意図しています。それは、人と人の距離感を考え直さざるをえない現状を反映した表現であると同時に、一人の人間の中の「多様性」が内在する「一人称」の表現であった「アンビバレンス」が、人と人の距離感や関係性の問題をはらんだ「他人称」の表現へと変容していく予感を孕んでいます。
金巻芳俊氏の制作において重要なマイルストーンとなる今展、ご高覧いただけましたら幸甚です。
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空刻メメント・モリ | 榧(カヤ)楠(クス) | H230 x 56 x 56 cm
「美男におわす」(埼玉県立美術館)出品作
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「美少女の美術史展」(北師美術館/台北)
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2021年1月吉日 FUMA Contemporary Tokyo
Yoshitoshi Kaneamki Prints
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